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糖質制限の落とし穴に注意、肉や油を増やさず魚と野菜を多めに

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  • コンディショニング研究会
  • アンバサダー 満尾 正先生
  • 満尾クリニック院長 医学博士
北海道大学医学部卒業。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授などを経て、キレーション治療とアンチエイジングを中心としたクリニックを2002年に開設。日本キレーション協会代表、米国先端医療学会理事。著書に『ウォーキングだけで老けない体をつくる』(宝島社)、『40代からの「太らない体」のつくり方』(三笠書房)ほか。

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糖質制限の落とし穴に注意、肉や油を増やさず魚と野菜を多めに

ご飯やパン、甘い菓子、ジュースといった糖質源となる食品の摂取を控えめにする「糖質制限ダイエット」。肥満の解消や糖尿病の予防・改善においては一定の効果があると言えますが、安易に糖質制限に飛びついている人が多いようにも見受けられます。

肥満の予防や改善のために、たとえばラーメンやうどんと一緒にご飯ものを食べるような、糖質食品の"重ね食い"は控えたほうがいいでしょう。しかし、すでに糖尿病をかかえているような人は別として、ダイエット中でもご飯を1食に1膳程度は食べる普通の食事を基本にすべきと考えます。糖質制限ダイエットでは、主食を控えめにする代わりにカロリーを気にすることなく肉や揚げ物ものなどを食べていい、ということになっているようですが、そこにはいくつかの落とし穴があるからです。

■増やしたくないリン、アンモニア、AGEs

まず、肉や肉の加工食品であるハムやソーセージなどの摂取量が多くなると、リンのとり過ぎにつながる可能性があります(リンについて詳しくは満尾正先生インタビュー【前編】「私のコンディショニング論」参照)。また消化吸収しきれなかった肉に含まれるたんぱく質の分解物が大腸にまで流れ込み、いわゆる悪玉菌と呼ばれる腸内細菌によってアンモニアなどの有害物質が作られます。アンモニアは腸管から吸収されて肝臓で無毒化され、腎臓を通って尿中に排泄されますが、これらの臓器への負担を増やすことにもなりかねません。

また、たんぱく質と糖が結びついて生じる老化の原因物質、AGEs(Advanced Glycation End Products、最終糖化産物)は、揚げもののような高温で加熱調理したものに多く含まれます。AGEsのとり過ぎは、肌のしみやたるみの原因になるという外見上のコンディションを左右するばかりではなく、骨粗しょう症、心筋梗塞や脳梗塞、白内障、認知症など、全身で深刻な疾病を引き起こす原因にもなります。

■魚でオメガ3系脂肪酸を補給、パフォーマンスアップも期待

油脂の構成成分である脂肪酸にはいくつかの種類がありますが、肉や揚げものが増えると、アラキドン酸(AA)などのオメガ6系脂肪酸の摂取量が増えます。オメガ6系脂肪酸も一定量はとっておくべき必須の栄養素ではありますが、青魚などに多く含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)などのオメガ3系脂肪酸を多めにとるようにしましょう。オメガ3系脂肪酸が多くとれていると、運動のパフォーマンスが上がるという研究報告もあります*1。筋肉の痛みや炎症を抑える作用も報告されています*2。アスリートの世界では、血中に含まれるAAとEPAの比を見て練習の調整を行うほど、この比率は重要視されているようです。

野菜はたっぷり、が基本です。肉などの動物性食品に含まれるたんぱく質や脂質の消化は多大なエネルギーを必要とし、酸化ストレスを増やすので、ビタミンやポリフェノールなどの抗酸化物質を多く含む野菜で補いましょう。また食事の最初に野菜や海藻、きのこといった食物繊維が多い食品をとる「ベジタブルファースト」も習慣に。食物繊維が先に胃に入ることで、あとから食べた糖質の吸収がおだやかになり、肥満や糖尿病の原因となる食後の高血糖が防げます。そして糖質源となる主食は、"減らす"よりも"変える"ことを心がけて。精製した白米や白パンよりも、食物繊維が豊富な玄米、大麦、雑穀、全粒粉のパンなどがおすすめです。

糖質制限するときの注意点

  • ▶︎肉や揚げ物は控えめに、魚は多めに
  • ▶︎野菜や海藻、きのこ類はたっぷり、食事の最初に
  • ▶︎主食は玄米、大麦や雑穀入りのご飯、全粒粉のパンにチェンジ

*1 Sportsmedicine, 185, 28-30, 2016
*2 Clin J Sport Med. 2009 Mar;19(2):115-9

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