コンディショニング研究会

カラダのコンディショニングとは?
知っているようで奥深い”コンディショニング”について
分かりやすく解説します。

主観と客観、どちらのチェックも大切

interview-07_01.jpg

interview_face_Mitsuo.png
  • コンディショニング研究会
  • アンバサダー 満尾 正先生
  • 満尾クリニック院長 医学博士
北海道大学医学部卒業。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授などを経て、キレーション治療とアンチエイジングを中心としたクリニックを2002年に開設。日本キレーション協会代表、米国先端医療学会理事。著書に『ウォーキングだけで老けない体をつくる』(宝島社)、『40代からの「太らない体」のつくり方』(三笠書房)ほか。

私のコンディショニング論

主観と客観、どちらのチェックも大切

朝起きたとき、前日の疲れを引きずることなくすっきりと目覚められるかどうかが、コンディションの一番いい指標になると考えます。自分の評価で構いませんので、チェックするのを習慣にしてみてください。目覚まし時計に起こされるよりも少し前にぱっと目が覚めるのが理想です。そして脳も体も、ストレスなく気持ちよく稼働するというのがいい状態。こうした主観的な評価が大切なのは言うまでもないことですが、一方で、客観的なデータによるコンディションの把握も、同じくらい大切です。

私自身は、スマートフォンのアプリケーションを用いて、起床時の脈拍や、睡眠の深さのサイクルが理想的なパターンになっているかどうかなどチェックしています。朝、数分間でできるコンディションチェックです。前日とても疲れていたり、飲み過ぎていたりすると1分間あたりの脈拍数がいつもより5~10拍ぐらい多くなっています。睡眠のデータがいい日は、やはり起きたときの爽快感が違いますね。

■尿のpHにコンディションが現れる

もう1つ、自分で簡単にできる客観的な評価法としておすすめしたいのが朝一番尿のpHチェックです。尿のpHは6.5~7.5が理想的と考えます。この範囲よりもpHが低い酸性に傾いた状態、pHが高いアルカリ性に傾いた状態のいずれも好ましくないのですが、何らかの病気でない限り、アルカリ性に大きく傾くことはめったありません。コンディションが崩れると、尿は酸性に傾きます。心身の疲労の一因とされる酸化ストレスや、肉食過多、暴飲暴食が、尿のpHを下げるからです。ある医師が日本人数十万人分の人間ドックのデータを解析したところ、尿のpHは年々下がる傾向にあるとのこと。ストレスの多い現代社会を反映した結果と言えそうです。

測定を1カ月くらい続けると、とても疲れた日や暴飲暴食した日の翌朝はpHが低め、野菜たっぷりのヘルシーな食事をしたらpHが高めになるなど、生活との関連性がわかってきて、コンディショニングを行うモチベーションにもつながります。尿検査用のリトマス試験紙は、通信販売などで手に入ります。pH5~8の間が0.2刻みくらいでわかるものを選んでください。

■年に1度は血液検査を、リンの値に注目

そして年に1回は血液検査で各種の測定値が基準範囲内に収まっているかどうか確認したいところです。しかし一般的な健康診断における血液検査では十分とは言い切れない面があります。たとえばほとんど知られていないと思いますが、現代人が測定しておくべき検査項目として挙げておきたいのが、ミネラルのリンの血中濃度です。

リンは骨や歯、細胞膜などの構成成分であり、さまざまな代謝にかかわる栄養素です。たんぱく質食品である肉や魚、乳製品、大豆などに広く含まれているので、現代人の一般的な食生活では不足することはほとんどありませんが、加工食品や食品添加物、清涼飲料水などにも含まれるため、知らず知らずのうちにとり過ぎてしまうことがあります。リンのとり過ぎは腎臓に負担をかけ、心臓疾患のリスクを上げることが複数の大規模な研究で明らかになっています*1*2

食品パッケージにある成分表示にリンの含有量の記載はほとんどないため、意識してチェックする必要があります。文部科学省の食品成分データベース(fooddb.mext.go.jp/)でも調べられます。ただし普通の食品に含まれるリンは「有機リン」といってすべてが体内に吸収されるわけではありませんが、うまみ成分として使われている調味料や肉の接着剤などに含まれるリンは「無機リン」で、ほとんどが吸収されるので注意が必要です。つまり同じ量の肉を食べるにしても、ハムやソーセージのような加工肉のリンのほうが吸収されやすいと考えられます。

知らず知らずのうちにリンをとり過ぎてしまう例として、当クリニックに年1回の健診を受けにくる、とても元気な50歳代の女性のことを紹介しましょう。前年に比べてリンの測定値が急に上がっていたので生活習慣の変化について聞いてみたところ、ゴルフのドライバーの飛距離を伸ばしたくてプロテインのサプリメントをたくさん摂取しているとのこと。しばらくこれをやめてもらったら、リンの値は正常に戻りました。

パフォーマンスの向上のためにサプリメントを利用する人は多く、また現代人の生活において、加工食品を摂取しないというのは不可能に近いと思います。だからこそリンのチェックが必要なのです。検査費用は比較的安価なので、健康診断の際、血液検査の項目に入れてもらえないか相談してみてはいかがでしょうか。

「今は元気、コンディションがいい」という主観があっても、客観的にコンディションをチェックする習慣も大切にしてください。

*1 Circulation. 2005 Oct 25;112(17):2627-33
*2 Arch Intern Med. 2007 May 14;167(9):879-85

次回8/27更新予定 平日睡眠不足なら休日の“寝だめ”が有効?!
ぐうたら休日朝寝坊は疲労感を高める