コンディショニング研究会

カラダのコンディショニングとは?
知っているようで奥深い”コンディショニング”について
分かりやすく解説します。

よく眠り、適度な運動をして、仲間と楽しく過ごすとテストステロンが出る!

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  • コンディショニング研究会
  • アンバサダー 堀江 重郎先生
  • 順天堂大学医学部大学院
  • 医学研究科教授 医学博士
東京大学医学部卒業。日米で医師免許を取得し、帝京大学医学部主任教授などを経て、2012年から現職。日本初の男性外来であるメンズヘルス外来を開設。アンチエイジングと男性医学、腎臓学の研究に力を入れる。日本メンズヘルス医学会理事長、日本抗加齢医学会理事長。著書:『ヤル気が出る!最強の男性医療』(文春新書)など。

おすすめコンディショニングTips

よく眠り、適度な運動をして、仲間と楽しく過ごすとテストステロンが出る!

テストステロンの分泌量は加齢に伴い低下し、また個人差も大きいものです。1日の中でも数時間のうちに分泌量が変化します。めげる、がっかりする、といった精神的ストレスでも下がりますし、激しい運動のあとも下がります。

このように、加齢以外の外的要因に左右されやすいテストステロンの分泌量(テストステロン値)を高くして、よりよいコンディションの維持につなげるために、日ごろの生活で気をつけたいポイントは3つ。睡眠、運動、社会とのかかわりです。

■重大な決断はテストステロン値が高い朝に!

テストステロンは睡眠中に分泌量が増えますから、よく眠るのが大切です。睡眠不足だとテストステロン値が低くなることは、実験的に確かめられています*1。ですから重大な決断を行うのは、よく眠れた翌朝、1日の中でテストステロン値が高い状態にあるときがおすすめです。テストステロン値が下がる夕方から夜に難しいタスクに取り組んでもパフォーマンスが上がらず、疲れを助長し寝つきも悪くしますから控えましょう。

次に運動。適度な運動はテストステロン値を高くします(グラフ1)。ウォーキングやジョギングのような有酸素運動でも筋トレでも構いません。前述の通り、激しい運動を続けるとかえってテストステロン値を減らしてしまうので無理のないように。テストステロン値が下がっているときに運動しすぎるとケガをしやすくなります。

【グラフ1】適度な運動でテストステロンが出る

66~76歳の健康な男性7人が、楽からややきついペースで自転車こぎ運動を行った場合と行わなかった場合のテストステロン値を比較。自転車こぎ運動でテストステロン値が上がった。
(Metabolism. 1996 Aug;45(8):935-9)
■社会環境への貢献がテストステロンを上げる

そして3つめの社会とのかかわりについて。前編で紹介したように、テストステロンは男性ホルモンであると同時に社会性ホルモンでもあります。自分が認めてもらえて自信が持てる芝生を確保しましょう。趣味のサークルでも、家庭でも、いきつけのお店でもいいんです。心地よい居場所を得て自分の目標に向かって頑張っていく、その結果出た疲れは仲間と楽しく食事をするなどしていやす。これがテストストテロン値を上げる生活です。

もう1つ心がけておきたいのが社会環境への貢献、「他人に与える」ということです。ボランティアでも感謝の気持ちでもお金でも。社会環境への貢献がテストステロンを増やし、自分の社会環境をより良くしてモチベーションが高まります。ボランティア活動や恵まれない人への寄付といった弱者を助けようという気持ちとテストステロン値には相関関係があるという研究報告が、英医学誌「Nature」にも掲載されています*2

■たった2分でテストステロン値が上がる?!

いつでもどこでもすぐできる、ちょっとおもしろいテストステロン値を上げる方法を紹介します。それは胸を張ること。胸を張ったポーズを合計2分間続けるだけで、テストステロンが増え、ストレスホルモンのコルチゾールが減ったという試験報告があります(グラフ2)。この試験の信ぴょう性については議論のあるところですが、背中を丸めてうつむいていたらやる気も出ないでしょうし、腑(ふ)に落ちる試験報告です。

【グラフ2】胸を張るとテストステロンが出る

対象は健康な男女42人。何のテストなのか知らされないまま、手足を開いて胸骨を広げた「胸を張る」ポーズと、手足を閉じて胸を狭める「背中を丸める」ポーズを、それぞれ2分間行ったあとのテストステロン値を比較。胸を張るとテストステロン値が増えた。
(Psychol Sci. 2010 Oct;21(10):1363-8

テストステロン値は簡単な血液検査で調べられますが、肥満の人はテストステロン値が低いということがわかっています*3。また肥満や高血糖、高血圧、脂質異常といったメタボの要因が増えるほどテストステロン値は低いという関係も見られます*4。テストステロン値が低いからメタボになるのか、メタボになるとテストステロン値が下るのかはわかりませんが、日々のコンディショニングのみならず、その先にある健康長寿にもテストステロンは深くかかわっているのです。

*1 Clin Endocrinol (Oxf). 2012 Nov;77(5):749-54
*2 Nature. 2012 May 23;485(7399):E4-5
*3 Diabetes Care. 2010 Jun;33(6):1186-92
*4 Urology. 2013 Oct;82(4):814-9

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中年期のコンディショニングは転ばぬ先の杖